11kmの線路を4時間かけて歩く「廃線ウォーク」で信越本線の自然と文化を堪能してきた

安中市を通る信越本線。その横川-軽井沢間は1997年に廃止となり、代わりに高崎と軽井沢をつなぐ北陸新幹線が開通しました。

現在では、その約11kmの廃線を徒歩で歩いて体験することができる廃線ウォークというイベントが安中市観光機構により定期開催されています。

 

人間と鉄道の営みが垣間見える設備や風景……約4時間のレクリエーションにはコンテンツがたっぷり詰まっています。

これはやはり実際に体験していただきたいところですが、写真と文章にてその様子が少しでも伝わればと思い、今回の記事をしたためます。

まずは「廃線ウォーク限定釜めし」で腹ごしらえ

スタートするのは、「碓氷峠鉄道文化むら」裏手にある観光案内所。ちょうど周辺の木々も紅葉していて、気持ちのよい光に包まれています。

 

時刻はお昼前。まずはランチをいただく「峠の湯」を目指して線路沿いの道をてくてく歩きます。

 

峠の湯に到着したら、おぎのや特製「廃線ウォーク」限定の釜めしをいただきます。

ちなみに容器はお持ち帰り可能!けっこう丈夫にできているので、小物入れにしたりお花を植えたりと色々な使い方ができます。

 

風景に抱かれる旅へ、いざ出発

お腹を満たしたら、ついに廃線へと入ります!

ヘルメットとライトを受け取り、スタッフから説明を受けたのちに、「峠の湯」の裏手にある線路へ足を踏み入れます。

 

この日の参加者数は約60名と、いつもより多め。長い旅になるので自分のペースで歩きましょう。

 

今回のルートでは、18個のトンネルを通ります。コンクリートでできた大きな横穴には、歴史を感じさせるポイントがたくさん。

 

たとえば、コンクリートの厚さを示す「50」の表示があったり…

 

災害時や保線作業をおこなう際に使用する沿線電話があったり。絶妙にデザインがかわいいですね。

 

トンネルを抜けると、突然視界がひらけて巨大な橋の上へ!

遠目に「めがね橋」も見える絶好の眺めを堪能しながら、しばし休憩です。

 

めがね橋にいる観光客のみなさん。おーい!と手を振ると、たまに気づいてもらえます。ちょっと楽しい……

 

トンネル内で映像観賞。信越本線の歴史を知る

ここからは一気に暗いトンネルに入ります。お手持ちのライトを灯し、みんなとはぐれないように。

スタッフの指示で全員がライトを消すと、ほんとうに真っ暗で何も見えなくなります。文明ってすごいですね……。

 

長く続くトンネルの中では、プロジェクターで映像を投影することもできます。

信越本線の歴史が伝わる素敵な映像を、現地で観賞できる体験はなかなかにレア。じっくり想いを馳せてみます。

 

少し日が傾いてきました。3つに分かれたトンネルの前で少し休憩をして、また歩き始めます。ここからは少し勾配がきつくなるので、しっかりと体力の管理をしながら。

 

県をまたぎ、夕焼けの軽井沢へ

続くトンネルの中には、県境の表示も!ついに徒歩で県をまたいでしまった……。感慨深い。ここまでよく頑張りました。

 

最後のトンネルを抜けます。この先は軽井沢。自分も含め参加者はみんなヘトヘトなので、出口が実際以上に光り輝いて見えます。うおお〜〜〜

 

美しい夕焼けとともに、ゴールが見えてきました!あと少し!

 

到着!!ここが軽井沢です。なんともエモーショナルな風景に、身体の疲れが吹き飛びます。

横川と軽井沢をつなぐため、わずか1年半の工事期間で開通した約11kmの区間。自動車なら30分〜40分くらいですが、実際に歩いてみると日が暮れてしまうくらいには長い。そこをなんとか便利にしようとした努力の片鱗は、今はこんな形で私たちのもとに学びとして還元されています。

明治から続く文化の歴史を体験する、約4時間の旅。廃線ウォークは月3回ほど開催されます。予約方法など、詳細は特設サイトをご覧ください。

信越本線の歴史についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。↓

この記事を書いた人

市根井

群馬県出身・在住。小さな地域編集プロダクション、合同会社ユザメ代表。
地域の持続と豊かな暮らしのために走り回っています。