皆さんこんにちは!前回に引き続き、浅香です。
今回は、前回の登山体験レポートにご協力いただいた
地元山岳会員の3名と磯部温泉組合の高野さんを交えた「裏妙義座談会」をお送りします!
山岳会について
山岳会事務局の松本さんにお伺いしました。
Q.山岳会はどんな会ですか?
当山岳会は、山仲間としての交流活動の他に遭難や事故を減らすため、地元自治体より依頼を受けて「裏妙義」管内の登山道の鎖場や道標の点検・整備などを行なっています。
Q.いつから活動をしている会ですか?
元々は事故の多い妙義山での事故を減らすため、地元高校の先生や地元の有志が集まって
ボランティアのような形で始まって、妙義山系の救助や整備に携わってきたと聞いています。昭和29年から60年以上続いている会です。
Q.現在はどのような活動をしていますか?
一般的な山好きな愛好会の活動としては縦走登山、山スキー、沢登り、クライミングなど、様々なジャンルの山行活動を行っています。
妙義山という遭難の多い山のお膝元の山岳会のため、先輩方は昭和初期の時代から妙義山の整備や救助に携わり、その活動を続けているということが、特徴だと思います。
かつては、遭難救助活動にも参加していましたが、現在は山の整備を中心に活動しています。
山岳会という会は少し時代遅れと思われるかもしれませんが、
安全な登山に貢献できるよう、関係組織と連携し現在も責任を持って活動を続けています。
妙義山を通じて人のために貢献できるため、活動にやりがいを感じる山岳会だと思います。
登山開始前に知っておきたい「裏妙義」
金岡さん
◉裏妙義の魅力は?
派手さはないですがクラシックで趣のあるところです。
◉裏妙義はどんな山?
一般の登山道と少し違って、鎖が多く設置されています。
岩稜帯が多く岩歩きがメインになるのでハーネスと落石から頭を守るためのヘルメットが必須です。
◉裏妙義登山に挑戦する方へ
初心者の方は必ず経験者の方と一緒に登って欲しいです。経験者の方にロープを携行してもらいながら、危険な箇所はロープで確保しながら、リスクを最小限にして楽しく登ってもらいたいです。
松本さん
◉裏妙義の魅力は?
山の形が他の多くの山と違って、中国の岩山のような、異世界のような景色を楽しむことができて、登頂時の充実感が強いところです。
◉裏妙義はどんな山?
他の登山道と違って岩稜帯が多くて、鎖で繋がれているルートが多いです。
鎖場を全身を使って登る登攀(とうはん)という技術を体験できる山です。
◉裏妙義登山に挑戦する方へ
鎖場が多い、つまり鎖が設置されるような危険な場所が多く、高度感のある岩場を登る山であるため、十分な装備や三点支持の技術を身につけた上で挑戦して欲しいです。
登山は準備が重要です。岩場を通過するための装備の他に、
何かあった時のために1晩山の中で過ごせるような防寒具やツェルト(簡易テント)、1食分余裕を持った食べ物などの備えがもしもの時に役に立ちます。
岩井さん
◉裏妙義の魅力は?
低山ですが高度感があって、登頂時には達成感を感じられるところが魅力です。
◉裏妙義はどんな山?
鎖場など岩登りの要素が多い山であるため、装備を万全に整えた上で必ず複数人で登ってもらいたいです。
◉裏妙義登山に挑戦する方へ
初心者の方は特に、「登りが疲れる」というイメージを持っている方も多いと思いますが、
山での事故は登頂し、昼食を食べたあと、下山中に起こる事故が多いため、油断をせずに歩いてもらいたいです。
今回初めて裏妙義登山に挑戦した高野さん
◉裏妙義はどんな山でしたか?
「登山をしたい人が勝手に」というと少し違うかもしれませんが、登りたい人は自己責任で妙義山に入っていく訳ですよね。
でも、山に入ってみると危険なところには鎖が設置されていたり、足をかけやすいように少し岩が削られていたり、
「登山者が安全に登山を楽しめるように」という【山岳会の方の優しさ】を感じました。
登っている途中にも、「この道が危なそうだ」と気づいたら「こっちに変えようか」という相談をしている姿もあったし、
「こういう人たちがいてくれるおかげで山も人も守られているんだな」「ありがたいな」と感じた登山でした。
下山直後 裏妙義を想う5人による座談会
高野さんが言っていたように、鎖や足場の確保、目印など
山岳会の方に感謝の気持ちを感じる場面が何度もありました。
そうですね。
危険箇所での事故や遭難を防ぐためや、登山道の崩壊を防ぐために整備をしています。
でも、そのためだけに整備を進めてしまうと上級者の方からは「こんなに鎖はいらないだろう」「整備がされすぎている」という声もあがるんですよね。
それでも、必要性のある場所には行政と打ち合わせを行いながら整備してます。
整備が整いすぎてしまって、楽しみが減ってしまう気持ちも山好きとしてはわかるので。難しいところですね。
楽しさと安全のちょうどいいところのせめぎ合いですね。
目標にしたい妙義山
今、山ブームやアウトドアブームのような流れがありますが
そういった時代の流れの影響はありますか?
妙義はこれまで、日本百名山のに載るような山を経験した人が、さらに「レベルの高い山」に挑戦する時に選ぶような格式のある山でした。
つまり、妙義山は技術向上のための「目標の山」として設定するにはとても良い山なので、
妙義山、裏妙義を目標にして他の山で技術や知識を身につけながら
登山を楽しんでもらいたいですね。
初心者の方が技術や知識を身につけるにはどんな方法がありますか?
山岳会のような熟練者のグループに加入して、活動を通じて技術の他に人間関係など様々なことを身につける方が、労力はかかりますが、結果的に充実した方法だと思います。
ロープの結び方やハーネスなどの取り扱いはYouTubeや書籍から独学で学んでいる人も多いと思います。
でも、独学だけで実際に山に挑戦してしまうと、誤った情報を覚えていたとしても指摘できる人が誰もいないんですよね。
そうだね。
山に精通している知り合いがいなければ、アウトドア用品を取り扱うメーカーの講習会や山岳ガイドのツアーに
多少お金をかけても自分の身を守るために何度か参加してみることがおすすめですね。
道具を購入して、自宅などで身につけてみるとワクワクして、できる気になってしまう気持ちはすごくわかります。
でも、正しい知識を身につけていないとその道具で命を落としかねないので。
道具を購入したお店の店員さんとの会話でもいいから、人と交流しながら登山を好きになってもらいたいです。
確かに、今回ヘルメットやハーネスをお借りして、身につけて歩いているとそれに合わせて『チャラチャラ』と音が聞こえてくるじゃないですか。
それを聞きながら歩いていると「山男になったぞ!」という気持ちになりました!
今回は山岳会の3人が引率してくれたから無事に戻ってこれたけど、
1人で挑戦していたらとても生きて帰ってこれなかったと思います。
事故への対策と対応
これまで、どんな事故がありましたか?
これまでの報告だと、初心者の人は「道具を持っていたけど使いこなせなかった」「下山中に夜になってしまった」という方などがいたと聞いています。
経験者の方だとやはり高齢の方の救助が多いみたいです。
事故は急に起きるわけではないんです。
「体力が無くなってきて」▶︎「判断力が落ちて」▶︎「道を外れて」▶︎「行った先が崖だった」とか。
例えですけど、この流れのどこかを断ち切れていれば事故は起きていないんです。
もし、山の中で迷ってしまったとして、どのタイミングで助けを呼んだらいいと思いますか?
登山としては「自力下山」が基本ではあります。
でも、もうそれが無理だと感じたら早めに110番、119番してもらった方がいいと思います。命に関わることだから。
そして、救助要請をしたら同じ場所に留まって、動かない。救助を待つことがベストだと思うかな。
判断するのにも勇気が必要なのはわかりますけどね。
だから、無理な登山計画は立ててはいけないんです。
「家で自分の力に見合わない計画を立てた時点で山岳遭難は始まっている」と思ってもらいたいです。
その計画がなければ遭難はしないから!
「無理な計画を立てた時点で遭難が始まってる」って、良い言葉!
迷ってしまった人が救助要請するタイミングが遅すぎるということはよくあります。
頂上でお昼ご飯食べて、下山し始めて、道がわからなくなって、あっち行って、こっち行って、夕方になってから通報ということが多いパターンです。
それだと、すぐに日没なので救護できる時間が短くなってしまうんです。
迷ったと思ったら、絶対に110番を。「迷惑かけちゃいけない」と遠慮して
家族に電話をかけてしまう方もいますけど、家族は助けられないから!
110番にかけてもらえれば大体の位置情報がわかりますからね。
遭難って簡単に起きるんだなあって思いました。
下山の途中で浅香さんと自分の2人で先頭になったタイミングが2回くらいあったけど、2人とも完全に道を間違えて迷いそうになってましたもんね。
「こっちですよね!あっちは木があるし!」って言いながら迷ってましたね。
そう。そのくらい帰りは道がわからなかった。
改めてその道を見たら両側に大きく×が書いてあったんだけど、その場所が門みたいになってて、その向こう側の景色が見たくて自然とそっちに足が向いてたんだよね
逆に勉強になりましたよね。「ここで間違えるんだ!」って
でも、本当に楽しかったですね。一人じゃ絶対に見られないですあの景色は。
突き詰めていくとバリエーション登山であったり、
かなり楽しめる山なので、また挑戦して欲しいですね。
今までは下から見てるだけだったけど、本当に楽しい山だと思いました
登った場所がどこからでも見えるのが良いんですよ。
「あ、あれが俺が登った丁須の頭だ!」って
国道から見えますもんね!良い経験をさせてもらいました。
本当に、安全に登らせていただきありがとうございました!
疲れを癒すのは磯部温泉
登山の途中、
自然が作り出した「厳しい裏妙義」と
その「厳しさを楽しみたい人」の関係に気づくことができてから
より一層、裏妙義を大切に想いながら楽しめたように感じました。
本当に楽しくて、ストレスの発散にもなったのですが…
体は疲れに正直で、下山後は全身が悲鳴をあげていました!
登頂直前でつってしまった足は特に。。
(お風呂でゆっくりあったまって、美味しいご飯を食べて寝ちゃいたい。)
そんな気持ちになりました。
きっと皆さんも同じ気持ちになると思います。
そんな時こそ、磯部温泉はいかがでしょうか
今回の登山の出発地点「旧国民宿舎裏妙義」から磯部温泉までは車で約20分。
一番近い温泉地です。
磯部温泉のお湯は
ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 という成分で
とろとろとしていて優しいお湯です。
【効能】神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、
冷え性、打ち身、慢性消化器病、切り傷など
温度が少し低めの源泉なので、ゆっくりじわじわ温まれます!
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!